Appleの新製品発表イベントがあると必ず目にするのがジョナサン・アイブことジョニー。

イギリス訛りの英語が妙に耳に残り、インダストリアル・デザイナーという肩書きと裏腹な(と個人的に思っている)筋肉質の体。

現在のAppleを作り上げたと言っても過言ではないにも関わらずKeynoteの際に自ら発表などを行うことはなく、どことなくベールに包まれた存在。それがジョナサン・アイブへの印象でした。今までほとんど知ることのなかったアップルの心臓とも言えるこの人物について深く掘り下げた稀有な書籍と言えるのではないでしょうか。

「Appleは市場調査をしない」ことについて

僕がこの本を読んで最も印象に残った言葉はこれでした。

明日の可能性に触れる機会のない人たちに、未来のデザインについて聞くこと自体が的外れだよ

散々語られているので僕がとかく言うことでもないと思うのですが、馬しか知らない人に車は想像できないわけです。それと同じように何か新しいものを作ろうと思って考え抜いている人って思った以上に少なくて、そういう”一般の人たち”の意見を聞いて出てくるアイデアって大体練られていないので優れたものとはなりにくいです。

“デザイン”の意味

アップルってセキュリティがすごく厳しいらしく、まぁそれは言われなくてもなんとなくわかっているんですけど、例えば会議のやり方ひとつとっても外部にもらしたりすると大変なことらしいです。

確かにミーティングをいろいろやってみると、話がどんどん横道に逸れていって「なんのミーティングやってるんだろう?」っていうミーティングがある一方で、すごく生産性の高いミーティングもあったりします。

iMacに始まったジョニーとジョブズとのコラボレーションは、歴史上最も豊かに実った創造的パートナーシップといっていいだろう。ふたりは力を合わせてアップルのエンジニアリング主導文化を覆し、すべてがはるかに融合されたデザイン主導の手法を築き上げた。ハードウェア、ソフトウェア、広告も含めて創造的なエンジニアリングという意味での「デザイン」がアップルの全てに沁み込んでいた。

この部分から推測するに、というよりも毎年のように新しいハードウェアを発表しつつ、さらにソフトウェアも毎年アップデートする、それも一つの会社がそれを行っている、と考えるとすごいことです。アップルのフルタイムの社員数は2014年2月時点で92,600人らしいですが、どれくらいかはわかりませんが、OSを多言語に対応させながら、全世界で400を超えるApple Storeを展開しているモンスター企業が徹底して新製品に関する情報を守れているのは、製品やソフトウェアのデザインだけでなく、製品開発から販売まで、それだけでなく会議のやり方までしっかりと”デザイン”されているからではないかと思います。

僕なんかはしょぼいものの、ソフトウェアのデザインや設計は考えるもののアイデアを出す過程までは”デザイン”していません。

そういうことを考えるとAppleの言う”デザイン”と僕たち一般の人たちが考える”デザイン”って、概念が全く一致していないのではないかと思います。

まとめ

最近、エンジニアになってみてモノを作るという過程がかなりエンジニアリングによってしまっていることにこの本を読んで気付かされました。技術を知っていると、その技術のできる範囲で何かやろうとしてしまいます。

でも本当に大事なことって、技術を使って何かをするということよりも、そのモノを使ってくれる人に何が提供できるか、どんなことが役立つかを考え、そこに向け、ユーザーに向けて課題をクリアしていくことが本当のモノづくりなんだと思います。

コードを書くとか、APIをうまく使うとか、本当はそんなことは二の次で価値あるものを使ってくれる人に、本当に必要としてくれている人に届ける、そういうことを再認識させられました。

なにかモノづくりをしている人にはオススメです。